亮太は、幼い頃から父と二人暮らしをしていた。
母が早くに見返り、父が亮太を男の手一つで育ててくれた。
家は裕福ではなかったが、父は毎日必死に働き、亮太を学校に通わせてくれた。
ある日、亮太が中学3年生の頃、父は突然倒れ、病院に運ばれた。
診断は末期の癌だった。医師からは、余命は数ヶ月と告げられた
亮太は信じられなかった。今まで元気に働いていた父が、もう長くないなんて。
涙が止まらなかった。父はベッドの上で亮太に微笑みかけ、言った。
「亮太、君はこれからひとりで頑張らなきゃいけない。でも心配するな。君なら絶対に大丈夫だよ。」
「約束してくれ。どんなに辛くても、絶対に自分を諦めないって」
亮太は涙を払いながら、父の手を強く握りしめた。
「約束するよ、お父さん。」
それから亮太が大学を卒業し、社会人になった時、父が使っていた古い手帳を偶然見つけました。
中を開いて、最後のページに短いメモが書かれていました。
亮太へ
お前はもう一人前だ。どんなことがあっても、自分を信じて前に進んでほしい。
あなたが立派になった姿を、天国から見守っているよ。
お父さん
その瞬間、亮太は涙が溢れて止まらなかった。父との約束が、彼の人生を支えてきたのだと信じた。
亮太は手帳を握りしめ、天を仰いだ。父の姿はもう見えないけれど、その言葉と愛は、いつまでも亮太の心の中で生き続けている。
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