アキラは事故で車椅子を使う生活になってから、多くのことが変わった。
かつてはアウトドアが好きで、山や川を駆け巡った彼だが、事故以降は自然を楽しむこともままならなくなった。
ある日、彼の古い友人であるタクミが訪ねてきた。
タクミはアキラが事故に遭う前の登山仲間で、アキラが事故で障害を負ってからは特に気を使って、彼との関係を続けていた。
タクミはアキラにとって、昔の自由な自分を思い出させてくれる数少ない存在だった。
タクミはアキラを久しぶりに外へ誘った。
目的地はアキラがかつて愛した山。
初めての車椅子での登山にアキラは躊躇したが、タクミの熱意に押されて承諾した。
当日、タクミは特別にアキラのために車椅子用のトレイルを用意していた。
彼らは山道をゆっくりと進み、久しぶりに自然の息吹を感じながら進んでいった。
風は山から吹き下ろし、木々は青々として空は広がり、アキラの心は久々に解放された感覚に包まれた。
山頂近くで、アキラはタクミに感謝の言葉を述べた。
タクミは笑いながら、「お前がまた山を楽しめるようになるのが目標だったんだ」と答えた。
二人はそこで、山の景色を前にして、昔話に花を咲かせた。
この体験を通じて、アキラは障害があっても自分が愛することを諦める必要はないということを学んだ。
また、真の友情がいかに価値があるかを再認識したのだった。
この日の出来事はアキラにとって、再び風を感じる大切な一歩となった。
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