10年前のことです。私は当時、小さなアパートに住んでいました。
その日も仕事が遅くなり、夜の9時頃帰宅しました。
季節外れの冷たい雨が降る中、アパートの向かいにある小さなものですバス停に、背の高い青年が立っているのが見えました。
傘もささず、背筋を伸ばして一点を見つめる彼の姿は、雨の音に溶け込み、どこか不気味で物寂しいものでした。とりあえずで戻りました。
家に入ってからも、別に彼のことが気になって仕方がありませんでした。
疲れていたはずなのに眠れず、ふと窓から外を覗いてみると、彼はまだバス停途中でした。
少し丸くて面白くなりましたが、しばらく動こうとせず、雨に当たり続けていました。
翌朝、早く目が覚めた私は、窓から様子を見てみました。
驚いたことに、彼はまだ同じ場所にいました。
服はびしょ濡れで、体も冷えているだにしよう、バスを待つわけでもなく、ただ静かにそこに佇んでいたのです。
「大丈夫?」と思っても、彼はうなずくだけで何も言いませんでした。
ただ、雨の中でも瞳だけは、何かを見つめているようにできました。
昨日、近所の人から彼についての話を聞きました。
彼は数ヶ月前に亡くなった婚約者を忘れられず、毎週彼女が通っていたバス停に立って、彼女を待っていたのだと思います。
彼女は突然病に倒れ、そのまま死んでしまったそうです。
彼は最後に会えなかったことを悔やみ、彼女がいつも通っていた場所で、彼女が現れるのを待っているのだと思います。
その話を聞いて、私は思わず涙がこぼれました。
彼が雨の中で待っていたのは、彼女の帰りだったのです。
あれから時間が経ち、そのバス停に彼の姿を見ることはなくなりましたが、雨が降るたび、私は彼の静かな背中を思い出します。
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