マリは海辺の小さな町で生まれ育った。
彼女の家族は代々、町の灯台を守ってきた。
マリも幼い頃から灯台の階段を駆け上がり、高い窓から広がる海の景色を眺めるのが好きだった。
しかし、マリには誰にも言えない秘密があった。
彼女は水に恐怖を感じており、海に近づくことすらできなかった。
その恐怖は、幼い頃に巻き込まれた海の事故が原因だった。
その日以来、彼女は水辺に立つことさえ避けるようになった。
だが、灯台だけは別だった。高いところから海を見下ろすことで、何故か心が落ち着くのだ。
マリが成人したある日、彼女の祖母が灯台の下の古い倉庫を掃除しているとき、一枚の古びた地図を見つけた。
それは海辺のある場所を示しており、「宝のありか」と書かれていた。
興味をそそられたマリは、祖母にその地図のことを尋ねた。
祖母は、その地図はマリの曾祖父が残したもので、実は彼が秘密の宝を埋めたという家族の伝説があると語った。
マリは、恐怖を克服し、曾祖父の謎を解明する決心を固めた。
彼女は友人のジョーを誘い、地図が示す場所へ向かった。
ジョーは地元のダイバーで、マリの水恐怖を知る数少ない人物だった。
二人は地図に示された海辺へと足を進めた。
マリは足を海に踏み入れる度に心臓が高鳴り、手が震えたが、ジョーの励ましにより前に進み続けた。
ついに指定された場所に到着し、彼らは水中を調査し始めた。
水中では予想外の光景が待っていた。
そこには、曾祖父が海の美しさを伝えるために作った彫刻が沈んでいたのだ。
彫刻は、海の生物と共に調和し、まるで宝物のように輝いていた。
マリはその美しさに圧倒され、同時に自分の中の恐怖が少しずつ溶けていくのを感じた。
その日、マリは海の恐怖を乗り越え、曾祖父が残した「宝」の真実を見つけ出した。
それは金銭的な価値ではなく、海という自然の美しさと、それを愛する心だった。
灯台の下で見つかった秘密は、マリに新たな勇気と海への愛をもたらした。
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