ユウタは中学の時からの親友、タケシと一緒に小さなデザイン会社を立ち上げた。
彼らは青春時代を共に過ごし、夢と情熱を胸に事業を拓いていった。
しかし、事業が軌道に乗り始めた頃、タケシに突然の病魔が襲いかかった。
タケシは末期の癌と診断され、余命わずかだと宣告された。
それでも彼は、最後まで何か意味のあることをしようと、ユウタに提案した。
それが「希望の図書館」というプロジェクトだった。
これは、貧しい地域の子どもたちに本を届け、読む喜びを知ってもらうことを目的としたものである。
ユウタはタケシの提案に涙しながらも同意し、二人でプロジェクトを進めた。
彼らはデザインの才能を生かして、魅力的な図書館を想像し、そのビジョンを形にしていった。
タケシの体は日に日に弱っていく中でも、彼の目は未来に向けて輝いていた。
プロジェクトが完成間近になったある日、タケシは力尽きた。
彼の最後の言葉は、「ユウタ、最後までやり遂げてくれ。僕の夢、見守っていてくれ。」だった。
タケシの死後、ユウタは一人でプロジェクトを完成させた。
図書館の開館式の日、彼はタケシの遺影を前にしてスピーチを行った。
「これはタケシの夢でした。彼はここにいます、この図書館の一部として。彼の心は、これからこの図書館を訪れる子どもたちと共に生き続けます。」
開館後、多くの子どもたちがその図書館を訪れ、本を通じて新しい世界を発見した。
タケシの夢は実現し、彼の遺した愛と情熱は、図書館を通じて未来へと受け継がれていくのだった。
ユウタは時折、静かな図書館の一角でタケシのことを思い出し、彼の偉大な遺志を胸に新たなプロジェクトに取り組む勇気を得ていた。
友情と共に築いた希望の場所は、彼にとって永遠の灯台となった。
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